ジャストインタイム(JIT)は、「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」生産するという考え方に基づいた生産管理方式です。もともとはトヨタ自動車が開発した生産方式の中核となる考え方の一つで、徹底的な無駄の排除と効率化を目指します。
ジャストインタイムの基本的な考え方
・必要なものを: 顧客からの注文や、後工程が必要とするものを。
・必要な時に: それが必要とされるまさにそのタイミングで。
・必要な分だけ: 過不足なく、必要な量だけ。
ジャストインタイム(JIT)の導入は、その目的と効果に魅力がある一方で、いくつかの要因によって難易度が高いと言えます。
ジャストインタイムの何がいい?
ジャストインタイム(JIT)を日常生活に例えると、少しイメージしやすくなるかと思います。工場での生産活動とは異なりますが、その「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」という考え方は共通しています。料理の準備を例にして夕食を作る状況を考えてみましょう。
ジャストインタイムではない場合

いかがでしょうか。皆さんも一度は経験があると思いますが、『今度使うから買っておこう』と冷蔵庫にストックさせておいて結局使わずに処分するなんて事ありませんでしたか?これがトヨタ生産方式の中では在庫コストのムダになります。処分しなくても冷蔵庫という限られたスペースにいつ使うかわからない食材がずっとあると邪魔ですよね?それらも在庫保管費用、管理費用などというムダになります。
ジャストインタイムの場合

「必要な食材」 を 「必要な時(料理をする直前)」 に 「必要な量だけ」 準備することが、ジャストインタイムの考え方に近いと言えます。実際には不可能かもしれませんが、朝、昼、夜の食事の準備をこのジャストインタイムの考えで行うと一般家庭で使用している冷蔵庫よりサイズダウンさせることができます。これによって得られるメリットは下記になります。
①電気代の節約(エネルギー費)

本来、買い物の回数を減らすために冷蔵庫の食材をパンパンに入れておくことを想定して買った冷蔵庫から毎食分の必要最低限の食材分が入る容量の冷蔵庫にサイズダウンさせることで電気代を大幅に節約させることができます。これは製造現場でも同じことで何日分の材料を専用の保管室などでストックしている場合はジャストインタイムを取り入れることで工場のエネルギー費を下げることができ、原価低減ができて工場の利益拡大に繋げることができます。
②面積の確保

冷蔵庫というのは日々の生活の中で必需品となります。従って生活領域の中でも一当地の場所へ配置しているのではないでしょうか?そんな一等地にあるデカい冷蔵庫がサイズダウンして隙間ができたら嬉しいですよね?その隙間に別の生活必需品を置けるからです。これも製造現場では同じでムダな在庫を保管するスペースを省くことができたらもっと付加価値の高いものを置くことができるのです。それをいろんな箇所で行っていくと大規模なレイアウト変更が実現でき作業者の作業効率が上がり、生産性が上がり、工場の利益拡大に繋げることができます。
③資金繰りの安定化

衝動買いや、特売品だからといって必要以上に購入することが減り、食費の無駄遣いを抑えられる可能性があります。
工場で、明日10個しか売れない製品のために、100個分の部品を今日のうちに購入してしまうようなものです。90個分の部品は保管場所を取り、劣化のリスクを抱え、資金を拘束し、管理の手間を増やしてしまいます。ジャストインタイムの考え方では、「必要な時に、必要なものを、必要なだけ」 購入することが理想です。必要以上の買い物は、この原則に反する「ムダ」を生み出していると捉えることができます。
もし必要以上の買い物をしてしまう傾向があるなら、ジャストインタイムの考え方を意識して、買い物リストを作る、購入頻度を見直す、冷蔵庫の中身を把握する など、少しずつ習慣を変えていくことが、無駄を減らすための第一歩となるでしょう。
まとめ
ジャストインタイムの考え方について料理を例にする事で何となくイメージができたかと思います。
今回はメリット、いいところばかりを紹介しましたがもちろんデメリットも存在しますので注意が必要です。
今後ジャストインタイムに挑戦す方へのアドバイス!
初心者への心構え
- 完璧主義にならない: 最初から完璧なJITを実現しようとせず、試行錯誤しながら徐々に改善していくという意識が大切です。
- 焦らない: JITの効果が現れるには時間がかかる場合があります。根気強く取り組むことが重要です。
- 変化を恐れない: JITの導入は、これまでの仕事のやり方を変える可能性があります。変化を前向きに捉え、新しいやり方に挑戦する姿勢が大切です。
- 小さな成功体験を積み重ねる: 小さな目標を達成していくことで、自信につながり、次のステップへのモチベーションを維持できます。
JITの導入は、職場の体質改善につながる可能性を秘めていますが、一朝一夕には達成できません。焦らず、着実に、そして周りの協力を得ながら進めていくことが成功への鍵となります。応援しています!
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